伊藤園の懸賞当選「初めての歌舞伎」に無料参加してみた
「おーいお茶」で有名な伊藤園さんの貸切公演「團菊祭五月大歌舞伎」に懸賞当選したので無料参加してきました。感想は大きく二点。歌舞伎は「ゆったりとしたオトナの休日の楽しみ」であり「一日遊びになる」ということでした。
目次
懸賞で参加する歌舞伎の過ごし方
東銀座の歌舞伎座へ
地下鉄メトロに乗り、東銀座の駅へ。こちらの歌舞伎座、駅から直結しており、改札を降りると地下構内にすでに歌舞伎の物販エリアがありました。そしてエスカレーターを上ると、もう歌舞伎座が目の前にあります。
わたしはこの日に初めて知ったのですが、驚くべきことに懸賞で歌舞伎鑑賞する場合、なんと先着順ではなく、指定席でもなく、当日の抽選により座席が決まる制度のようです。完全に運任せです。しかも、座席には種類があり、「桟敷席2万、一等席1万6千、二等席1万4千、三階席4~6千円」という大きなバラツキがあります。せっかく来たので、こうなると三階席だけは避けたいところです。懸賞に当たっても、さらに抽選を試される、ちょっとしたギャンブル勝負です・・・!
なんでこんなことをしているのかというと、おそらく、お客さんをきちんと呼びたいからだと思います。もし懸賞が当たった時に3階席を指定された人は、それなら欠席しようかなと考える可能性があるからだと思います。まさか現地にきてから、3階席なら帰る、と考える人は少ないかと思います。
そして、抽選の結果、わたしは2階の一等席の一番前でした。値段にして1万6千円です。正直、ほっとしました。全体の景色が見やすく、前の人に気を遣わなくて良いし、当たりの席です。歌舞伎の名物である「花道」もしっかり見えます。客席を見渡すと、着物の人がちらほらいましたが、ほとんどカジュアルな私服の人ばかりなので、あんまり抵抗なく居心地も良かったです。
ちなみに、わたしは早起きできない性格なので諦めていたのですが、先着300名様には芸者による抹茶の振る舞いサービスがあったようです。しかも後から知ったのですが、どうも市川海老蔵さんが挨拶しに来てくれたらしい。これはちょっと参加してみたかったです。早起き頑張れば良かったと少し反省しました。
とはいえ、歌舞伎では、やはり年配のお客様が多いので、早起き合戦はみなさま強そうです。最低でも抽選開始一時間前には並んでおかないとダメそうに思います。
開演まで
席に着くと、そこにはお土産が置いてありました。中には、パンフと「かまわぬ」のクリアファイル?とタオルとお茶がもらえました。(写真は帰宅後に撮影したもの。)
開園まで1時間余っていたので、物販コーナーにて、焼きたての人形焼5個400円を間食しました。やはり焼きたては美味しいです! しかし、この顔はちょっと歌舞伎入っていて、少し怖いですね。。。
さらに間食が進み、たい焼きまで購入。1匹250円です。もっちりとした皮に、ぎっしりとしたアンコ、そして紅白のお団子が中に入っており、かなりのボリューム感でした。
第一幕 開演
演技中はもちろん撮影禁止なので、携帯の電源を切っています。
なお、この日の第一幕公演は、摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)です。もともと人形浄瑠璃として公演されていた内容を歌舞伎にしたものらしく、文楽的な構成になっています。
・・・。
・・・。
ありきたりな感想で恐縮なのですが・・・食べ過ぎて眠くなってきました。
しかも読み手さんの声が、絶妙にアルファ波を送信しており、ウトウトと・・・しかし、せっかく来たのだからさすがに寝るわけにいかず、社会人スイッチをオンにして、眠気を払拭しました。そうして公演を見ているうちに、次なる問題に気がつきます。
(・・・ストーリーが全然わからない。)
正直、初見さんには理解が難しいように思います。なぜなら読み手さんや演者さんの歌や台詞が、全般的に昔の文語だからです。せっかく来たのに、これはもったいないなと考えている時に思い出したのが、お土産のパンフです。慌てて手元のパンフを開いて「あらすじ」を速読します。(歌舞伎は館内の明かりがうっすらと点灯したまま進行するので、十分に読める明るさです。)ちらっと見渡すと、自分以外にも結構パンフ読んでいる人が多かったです。年配の方も難しく感じる人がいて、少し安心しました。
それからあらすじを読むことで分かったのですが、摂州合邦辻のストーリー、めちゃくちゃ切ないものでした。終盤にさしかかっていくにつれ、観客席からすすり泣きの声もありました。そして、今回、歌舞伎の見所の一つだなと思ったのは「静と動」です。基本的にはひたすら静かな雰囲気で進行しているのですが、ここぞという見せ場の部分になると拍子木や太鼓の音で一気に盛り上げていく。さらに、演者の濃密な演技が世界観を作り、ひきこんでくれます。
あらすじを読んでしまうとネタバレにはなるのですが、しかし、歌舞伎の場合はネタバレしていてもあまり問題ない気がしました。個人的に感じたことですが、歌舞伎で楽しむ部分は「驚きの結末」もそうだとは思いますが、その過程にある「表現力」の要素も大きいと思います。
そして第一幕終了。最初は楽しめるか心配でしたが、終わってみると余韻がすごく、とても楽しめていました。ここで、重要なことが一つ。「パンフには滅茶苦茶助けられた」ということです。初めて参加する人は当日に買うことを推奨します。仮に買わない人は、事前に調べて沖、演目内容のあらすじを知っておいた方が良いです。(もちろん聞き取れる自信のある人は、問題ないです。)
お昼休み
嬉しいことに、この伊藤園の懸賞参加者には弁当つきでした。「おーいお茶」も飲み干し、すべて完食させて頂きました。
一番の高級席である桟敷席は、上記の弁当よりもさらにワングレードアップしたものが配られるようです。なんてうらやましい環境なのでしょう。
第二幕 開演
午後に入り、第二幕のはじまり。次は通し狂言の「天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)」。あの有名な「大岡裁き」の一つですね。これは事前にあらかたストーリーが読めていた+吉宗の時代ということもあり、言葉も分かりやすく、すんなりと溶け込めました。分からない時はすぐにパンフで補足します。
そして市川海老蔵さんが登場すると「成田屋!」の呼び声があちこちから。おまけに今までになかった登場だけでの拍手まで起きていました。
・・・さすがっすね↑
しかも海老蔵さん、出番の前後でブログまで書いているお茶目っぷりと余裕っぷりでした。
そして第二幕終了。個人的にはとっつきやすいと感じたのは第二幕のほう。でも深く感情移入したのは第一幕でした。
まとめ
予想していたよりもかなり楽しかったです。自分がトシ喰ったのもありますが、和風の雰囲気って時折すごく触れたくなるんですよね。お客さんもみなさんマナー良いので安心して参加できます。また歌舞伎の代名詞とも呼べる隈取をあしらったような激しい演出などがなかったので、次に来るときはそういう演目を見てみたいなと思いました。色々な演目があるので、知れば知るほど楽しめそうです。見知った演目でも演者さんが変われば、また見所が変わるからです。
ちなみに帰宅を始めた夕方前後の歌舞伎座周辺はすさまじい混雑模様です。やはり根強い人気なのだなと思います。
一点、気になったことは、やはり若い世代の人が、あまりいないことでした。30年後以降の盛り上がりを考えることが、ビジネス的な課題なんだろうなと感じます。