大企業を辞めたい人へ「実際の体験談&その後」を紹介
せっかく大企業に入社したけど、「自分に合わない。辞めたいな」と感じる人は多いと思います。
でも、いざ辞めようと思うと、転職が心配だし、家族や友人・恋人などが反対することは目に見えていて退職には踏み切れず……と、なんだかんだ在籍するケースがほとんどだと思います。
▼悩み例
・大手の社風が合わない
・周囲の仕事ばかり押しつけられて自分のやりたい仕事ができない
・技術など専門的なスキルが身につかない
・大きな人間関係に疲弊する
・そもそも出世に興味ない
・みんなエリート意識が高くて疲れる
etc...
自分の場合、体調を崩してしまったこともあり、「このまま定年まで仕事はやれない」と判断して辞めました。その後、なんだかんだありつつも、普通に生きることができています。
というわけで、これから大企業の退職・転職を考えている人向けに、自分の当時の体験談(会社を辞めて得たものと失ったもの)をカンタンに紹介したいと思います。
目次
大企業を退職して失ったもの
辞めてから失ったものは、やはり「待遇」と「信用」でした。
1.しっかりした待遇がなくなる
まず、一番に言いたいことは、大企業というのは、なんだかんだ、待遇がしっかりしている、ということです。
こう書くと、色んな反論がありそうですね。
「サービス残業ばかりだから!」
「有給、ぜんぜん使えねえよ!」
「給料安いし、待遇悪いよ!」
そんな声も聞こえてきそうです 笑
でも、中小企業や小さな会社、一部NPO団体などでは、それ以前の部分がしっかりしていないことが多いのです。
具体的には、給与の支払や福利厚生(社会保険・労働保険・年末調整)などです。
大手にいれば、総務・経理・労務などの部署があり、すべてしっかり処理してくれます。しかし、これが小さなところだと、けっこう曖昧だったり、なかなかすさまじいことになっていたりします。正社員とかいいながら社保やってなかったり、給与を何カ月も滞納したり、法的にアウトなところも結構あります。
なので、転職先や仕事でつながる会社次第ではありますが、給与を支払うように何度も連絡したり、毎年年末に揉めたり、あれやこれやの書式を準備してくれといわれたり、退職する時に離職票をきちんと出してくれなかったり……本業とはまったく関係のない部分での心労が増える可能性もあります。
あと、大手だと独自の年金積立制度だったり、退職金の積立制度だったり、賞与2ヶ月分以上とかの担保がありますが、中小企業のほとんどには、そんなもんありません。大手企業は、給料以上の部分で、かなり色々と充実してるんですよね。実質、年収に+50~100万円くらいしても良いと思います。
でも、大事なことは、それらがもらえなくても、普通に、十分に、生きていけるよってことです。また、大手企業の福利厚生が絶対かというと、そうではないので、あまり過信はしないほうが良いです。(会社の経営が怪しくなると、リストラだったり大幅な人件費カットなども現実に多くありますので。)
2.社会的信用がなくなる
大手企業にいれば、引っ越しでトラブルになることがありません。大家さんや不動産会社はすぐにOKくれて、すぐ引っ越しができます。
しかし、これが小さな会社だったり、自営業だったりすると、審査が厳しいです。入居を断られることも普通にあります。(最低限、保証人は必ずいないと厳しいです。)
クレジットカードも同様で、大手企業にいた時は1年目からゴールドカードを作れたりしましたが、自営業になってからは通常のクレジットカードでも審査で落とされることがありました。
また、警察の態度もかなり変わります。
自営業になってから、とある出来事で警察に事情聴取された時、最初はものすごく高圧的なマウントをとってきて、「お前は何者だ!?(あやしいやつめ!)」という感じで接してきたのですが、話の流れで、もともと大手企業にいたことを話すと、態度が180°変わりました。「ああ、そうだったんですね。お話を聞かせて下さい」という感じです。(コントかよ!ってレベルで豹変です 笑)
とまあ、こんな風に、マジで社会的信用というのは大分なくなります。
あと、くだけた話をするなら、異性からの評価なんかにも結構な影響をします。(大手を辞めたことを伝えてから急に態度が急変したり、返信がこなくなった女性の知り合いもいて、「なるほど……」、と達観した気持ちになったこともあります 笑)
大企業を辞めて得たもの
自分が退職してから得たものは、「心と体の健康」、「スキル」、「楽しさとやりがい」、「転職力の強み」でした。
1.無駄な人付き合いが減ってプライベートが充実
大企業にいると、平日だけでなく、休日の大部分も会社の人間関係で占有されます。
花見など季節のイベントや、新歓や送別、涼会・納会・忘年会・期末の打ち上げなど年間の定期的なイベント。それから労働組合などのレクリエーションだったり、先輩・後輩・同期の結婚式やお誘いなど、じつにたくさんのイベントがあります。
これに結婚でもしていれば、「会社と家族」以外の時間はほとんどないと言って良いでしょう。
もちろん、それらが充実していて、楽しいのであれば、不満は何一つないと思います。ただ、どうしても合わない人がいたり、価値観が合わなかったり、「自分がのびのびした気持ち」でいられないのであれば、かなりの疲弊です。
自分もそういうタイプだったので、会社を辞めてからは、かなりの解放感でした。煩わしい上下関係やビジネスマナー、飲み会からの解放は、心と体の両方を元気にしてくれました。
また、仕事の愚痴ばかりを話すような無駄な付き合いも減ったので、「自分の楽しい時間」を増やすことができました。(これは本当に最高に嬉しいことでした。)
2.スキルが身につく
まずプライベートの時間がありますので、好きなように自己投資できます。(だらけやすい人は要注意!)
また、転職先や自営業次第でもありますが、"制作"に携わると、いやでもスキルが身につきます。大手だと、なかなか手を動かすことが少なかったり、色んな雑務に追われたりして、コア技術を磨けないことも多かったのですが、この点も嬉しいポイントでした。
3.楽しさとやりがい
給与や待遇を考えると、確かに大手企業にいたほうが良かったのだとは思います。
でも、一年で得られる収入金額を少し減らすだけで、ありえないくらいのストレス解放と健康的な生活の確保。それからやりがいを感じる仕事をできることは本当にメリットでしかないです。
大手にいた頃、よく「給料減らしてでもいいから仕事を減らして休みたい…」と思っていたのですが、まさにこれを実現した形になります。
4.転職力の強み
これは自分はweb系を選んだこともありますが、web制作は、スマホ普及のおかげもあって、今やどこも必須の広告手段ですので、会社名や給与や待遇を欲張りすぎなければ、けっこう転職先がたくさんあります。
大手にいた頃は「転職先あるかな……」という不安がずっとありましたが、今では「どっかでなんかしら仕事あるだろう」と楽観的な気持ちでいられるようになりました。(なんなら自営でのんびり仕事もできますので。)
後悔はなし!
結論として、大企業を辞めたことに後悔はまったくありません。
もし、あのまま続けていたら、会社の雰囲気に疲弊し、自分の人生の多くを犠牲にしていたと思います。その分、お金は入ったのかもしれませんが、日々の楽しみがほとんどなくなっている状態でした。(一時期は激務のあまり、美味しいものを食べて楽しむ、という感情すら失っていました。)
・激務で疲弊しての高収入よりも、そこそこの収入で良いから仕事もプライベートも楽しい方が良い
・大手ならではの雑務や人間関係に時間を浪費するより、自分の好きな仕事に自分の裁量で打ち込みたい
・大手の偉そうな感じが空かない
「大手企業が合わない……」と思う人は、もう一度、自分の人生の進み方を考えてみても良いのだと思います。
「よそに行っても同じだよ」は完全無視しよう!
「辞めても、どこ行っても一緒だよ。ここでがんばって我慢して乗り越えるのが仕事ってもんだよ」
転職する際、多くの場面でこういう発言をする人がいますが、これは完全に無視して良いです。なぜなら、そんなことはないからです。
自分は、転職して中小企業を経験し、その後に自営業でフリーになって、色んな会社や団体を見てきましたが、どこもそれぞれに一長一短がありつつも、必ずすべてが同じ、ということはありませんでした。
また、昨今は少子化の背景もあって、大手企業に限らず、どこも人手不足です。嘘だと思うなら、試しに転職サイトに登録してみましょう。そうすると、社会にどれだけの会社があり、どれだけの仕事があって、どれだけ人材不足なのか、可視化した情報で、よくわかります。
そして、気づきます。「その会社でないといけない理由」というのは、じつはそんなにないんじゃないか、と。
「転職できるスキル」さえ持っていれば、会社自体の名前とか大きさってそんなに重要ではないんですよね。(ブランドにこだわる人からすればありえない考えだと思いますが、自分はブランドとかどうでもいいという考えの人です。)
一番避けるべきは「我慢し続けて、老化だけすること」
リストラとかになると、よく高齢者の仕事できない系の人が槍玉にあがって論争になります。
しかし、これって、じつはただの自己責任だというのが、自分の考えです。なぜなら「大手企業だから安心」という信じがたい宗教じみた考え一本に人生を預けて、自分の人生のリスク管理・対策を何一つしていないことは、自分の人生と向き合っていない思考放棄の怠慢なだけだからです。
大手であっても、きちんと人生と向き合っている人はスキルを持っていたりして、リストラにもならず、仮にリストラなっても、また他の仕事をすぐスタートできます。
「大手企業だから大丈夫」という考え一本で、人生を預けることは、とてもリスクだと思います。(もちろん、その考えのまま定年を迎える確率も大手なら高いので、そういうルートがある、という事実も受け止めないといけませんが。しかし、それが絶対ではないです。)
でも、昔の親世代や、一般的な世間のイメージだと、まだまだ「大手企業だから大丈夫」という考えは強く浸透しているのも事実です。あなたが「大手企業を辞めたい」と相談でもしようものなら、それら常識のもと、猛烈に反対されてしまうことがほとんどでしょう。
そういう時に大事なことは相談相手をよく選ぶことです。
未経験者に相談するのは辞めよう
まず、転職をしたこともなく、また大手企業でしか働いたことがない人だったり、大手企業=社会の絶対正義みたいな人に相談するのはやめましょう。
なぜなら、それは「サッカーをしたことがない人にサッカーのプロになるにはどうすれば良いか」と相談しているようなものだからです。
「大企業を辞めたい」
「転職したい」
そう思うなら、まずは大手企業を辞めた人に相談したり、転職の経験を持つ人に相談するべきです。誤った相手に相談しても、不毛に時間を浪費するだけですので、気をつけましょう。
まとめ
人生はたったの一回きり。
「3年は勤めないといけない」とか「どこ行っても変わらない」とか、そういう謎の常識に縛られず、若さ・行動力のあるうちに、色んな経験をしておいたほうが将来的に役立つと、自分は思います。(現に、今役立っていますので、そう思います。)
自分の場合、あのまま大手に残り続けて、他では通じないスキルしか持たないまま今の年齢になっていたら絶望でしたが、今は自営業 or 転職という選択肢があるので、かなりラクです。
参考になれば幸いです。