個人事業主のありがたい味方。小規模企業共済
個人事業主っていうと、退職金もなくて、将来が不安・・・という感じがあるかもしれません。しかし、じつは小規模企業共済といって、そんな個人事業主のために、退職金のような共済金の積立制度があります。
コツコツと毎月積み立てて、しかもそれらは全額税額控除対象となりますので、とてもメリットのある制度となっています。
以下に、詳しく説明していきます。
目次
個人事業主のありがたい味方。小規模企業共済
小規模企業共済とは
小規模企業共済とは、個人事業主や中小企業経営者などのための制度で、事業を廃業した時(辞める時)や、事業主が死んだ時などのために積み立てる、共済金のことをいいます。
積み立てたお金は控除対象となり節税効果にもなり、また共済金を受け取る時には、条件を満たすことで上乗せした金額が戻ってきますので、将来が心配な個人事業主の方にはありがたい仕組みになっています。
▼小規模企業共済の公式HP
http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html
▼「小規模企業共済」の節税効果!
http://www.smrj.go.jp/skyosai/e-netmagazine/020350.html
小規模企業共済の仕訳
たとえば毎月1万円を小規模企業共済に充当して、それをポケットマネーで払っておいて、一年継続させた時は、下記のように仕訳してOKです。
日付 | 項目 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | ||
12/31 | 小規模企業共済 支払 | 事業主貸 | 120,000 | 普通預金 | 120,000 |
事業主貸ですので、ただお金を引き出しているだけの仕訳です。
もし、自分のポケットマネーで支払っていれば、事業用のお金を使わなくてもOKです。それでも、ちゃんと控除対象にすることができます。
小規模企業共済は各種控除の対象
確定申告書Bを見ると、「所得から差し引かれる金額」の欄に、「小規模企業共済」という専用の項目がしっかりあるんですね。そこに金額を記入すればOKというわけです。
小規模企業共済の注意点
小規模企業共済の積立金は、全額が控除対象となりますので、それならどんどん小規模企業共済をしておいたほうが良いじゃん!と考える人もいるかと思います。
しかし、小規模企業共済にも、むろん注意点がありますので、気をつけましょう。
公式HPのこちらのページを見ると分かるのですが、下記の文章に注目してください。
解約手当金は、掛金納付月数に応じて、掛金合計額の80%~120%相当額がお受け取りいただけます。掛金納付月数が、240ヶ月(20年)未満の場合は、掛金合計額を下回ります。
これはつまり、小規模企業共済を利用して、お金を積み立てていっても、その積立期間が浅いと元本割れして、損してしまう可能性があるということを意味しています。
少なくとも小規模企業共済を利用する場合、どのタイミングから利益が発生するか、どれくらいの期間続ければ利益が発生するか、事前にシミュレーションしておくことが大事です。節税効果と思っても、それ以上の損をしてしまっては、本末転倒です。
また、小規模企業共済の共済金(解約手当金)を受け取る時にも注意が必要です。結論からいえば、受け取りの際、税金がかかります。また、共済金(解約手当金)の受け取り方によって、その所得の扱いが変わって、税率も変わる、という決まりになっているので、注意が必要です。詳しくは公式サイトから確認できます。
▼共済金および解約手当金は税法上どのように取り扱われますか。
http://www.smrj.go.jp/skyosai/qa/kyosaikin/000372.html
▼共済金(解約手当金)を受け取った場合、どのような税金がかかりますか。
http://www.smrj.go.jp/skyosai/qa/kyosaikin/050633.html
小規模企業共済との付き合い方
毎月の金額と、加入期間と、受け取り方。それぞれを検討・シミュレーションしてみて、自分にメリットのあるように利用すると、小規模企業共済はとてもありがたい仕組みです。端的には、一定の金額をしっかり長い期間ちゃんと積み立てていけば、プラスになる資産運用というわけです。
掛金合計額の80%~120%相当額ということは、最大+20%が望めるわけですので、自分に合ったプランを策定していくと、かなり使える制度です。
まとめ
個人事業主になって、「節税が思うようにうまくいかない・・・」って時は、小規模企業共済を選択すると、安定した節税対策(かつ増資)にもなりますので、検討してみてはいかがでしょうか。(自分もちょっと悩んでいます・・・。)
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