web系個人事業主の見積・契約・納品・請求までの具体的な一連の流れ
本記事では、web系個人事業主がウェブサイト制作の業務を受けた際、見積~契約~納品~請求までの流れを紹介したいと思います。
まあ、個人事業主といっても、制作会社でやることと、基本的には一緒です。
目次
web系個人事業主の見積・契約・納品・請求までの具体的な一連の流れ
見積
お客様からウェブサイト制作の相談を受けて、最初にやる仕事が、「見積」です。見積とは、その仕事の金額・量・期間・行動を前もって概算することです。
ウェブサイトの場合は、まず、どんなウェブサイトを作りたいのか、その機能・デザインといった要件を洗い出します。その結果、「自分が担当する場合にどれくらいの制作費用が必要になるか」という金額を提示します。
ただ、個人事業主になると、フリーということもあって安くみられがちですので、取引先から「この値段でやってよ」と言われることも少なくないです。
そんな時、「見積書」をきちんと提示して、「これくらいの金額は一般的な相場です」と説明して、納得して頂く交渉力のチカラも求められるわけです。
もちろん個人事業主ですので、値段のつけ方は自由です。ただ、自由がゆえに、基準が分からないな、という人は、一般的な相場と照らしながら決めてみると良いかと思います。
個人的にオススメな見積方法は、工数で計算することです。
・自分が作ると、どれくらいの時間がかかるか
・一般的な相場とかけ離れていないか
・お客さんの要望からかけ離れ過ぎていないか
といったことをバランスよく検討して、金額を決定します。
見積をしたら、その内容をまとめて見積書を作成して、取引先へ送付しましょう。見積書は契約でもなんでもないので、電子メールの送付でも十分です。
ただ、いきなり見積書だけ送ると金額的にびっくりされそうだなと思う時は、電話や打ち合わせで、口頭の補足も付け加えながら提示することが大事です。
契約
見積書を送付して、お客さんが納得したら、契約の段取りになります。
この時に気をつけたいことが、契約をしないまま作業を始めないことです。できるだけ必ず、契約の事実を取り交わすようにしてください。
書類が面倒なら、最悪はメール。とにかくカタチにしておくことが大事です。最近では電子契約サービスなどもあります。
▼クラウド契約「CLOUD SIGN」
https://www.cloudsign.jp/
ちゃんとした契約書でなくとも、できれば相手側に発注書を送り、その発注書にサインをしてもらって、電子スキャンなどで送ってもらうくらいはしましょう。
すでに付き合いがあったり、ちゃんとした法人だから信頼できるといった根拠があれば良いのですが、新規のお客様は、揉める可能性がゼロではありません。自分の身を護るためにも、しっかりと契約の合意はカタチにしておきましょう。
揉める時は揉めるし、ダメな時はダメ
法律のトラブルは、本当に面倒です。
仮にちゃんとした契約書を交わしていても、バックレるお客さんはバックレます。そして、エビデンスがあったとしても、その追及をしていくためには、弁護士さんに相談したり、多大な労力が必要となります。しかも必ず勝つとは限りません。
では、契約なんてする意味ないじゃん・・・ともなるのですが、一応、法律の根本として、カタチに残しておくことは大事なことです。また、見積⇒契約という流れを徹底することで、ビジネス的な対応がまったくできなさそうな相手は、そこでちょっとした注意をするタイミングともなります。その後、仕事を本当に引き受けるかどうか、冷静に検討するきっかけにもなりますので、決して曖昧にしないようにしましょう。
納品
どの時点を持って納品とするかは、相談を受けたタイミングや、見積のタイミングで、しっかり定義しておくことが重要です。
ウェブサイト制作では、大体の場合は、「本番サーバーで公開」=「納品」という感じですが、場合によっては、「デザインデータ・構築データを送る」=「納品」という場合もありますし、稼働した日数に応じて費用を支払ってもらう時もあります。
納品の定義をしっかり決めておくことで、ウェブサイトを納品した後、「こういうページも必要なんだけど・・・」といったように、追加で新しく話が出てきた時、それは新しい案件になると説明もできるようになります。(まあ、実行上、ちょっとしたことであれば、なんだかんだサービスでやっちゃうことになることが多いとは思いますが。)
あと、本当は、納品した時に納品書を作って送ることが正式な手順ですが、web制作の業界だと、納品後には、そのまま請求書を送って終わり、とすることも多いようです。
請求
ウェブサイトのように成果物を納品した後は、必ず請求をします。納品するだけして、請求をしない状態で、「お金が来ない!」と叫んでも、それは自分の過失なだけです。
請求書は、見積書の内容から金額に変更がなければ、当初の金額のまま請求します。
相手が法人の場合は、経理の担当者が請求書一式を紙データで管理していることがほとんどですので、原本を郵送するカタチになるかと思います。
事前にメールでスキャナ写しを送ったりして、内容に不備がないか、確認しておくとスムーズです。とくに源泉徴収関係はしっかり確認しておきましょう。すべての確認が終わって、提出をする際は、最後に印鑑を忘れずに押すようにしましょう。
請求後は、指定の日時までに振込されているか、期日翌日などに、しっかり確認しましょう。
もしかしたら、相手側がものすごく忙しくて、忘れている可能性もありますので、そのまま放っておいて、後になって振り込まれてないとなると、その事実確認に時間をとられてしまうかもしれませんので。
以上が、web系個人事業主の制作に関する、一連の流れとなります。
もろもろの対応が面倒くさいと思う人へ・・・
こういった一連の手続きが面倒と感じてしまう人もいるかもしれません。
まあ確かに面倒は面倒なのですが、しかし、しっかりとした契約を交わすということは、個人事業主に限らず、社会人としてやっていくうえでも重要なことです。ぜひ身につけましょう。
契約の手続きを細かくすることで取引先に嫌われそうな時は・・・?
「そんな面倒なことやってられねえよ。ちゃちゃっと作ってくれよ!」っていう、取引相手の方は少なからずいるとは思います。
ただ、そういう「言葉だけのやりとり」をしたがる相手なら、なおさらしっかり手続きの記録を残しておくべきです。
なぜなら、もし揉め事が起きて、お金を踏み倒されたりして、一方的に途中でキャンセルされた時、具体的なカタチに残したエビデンスがなければ、困ってしまうのは自分だからです。
「そんな取引、うちはたのんでねえよ」
そう言われたら、オシマイなのです。
一方で、良識的な相手であれば、契約の大事さを分かっています。そのため、ちゃんとした仕事をしたいと思って、書類のやり取りを嫌うことは、まずしませんので、やはり契約は大事ということです。
細かい契約なしでも信頼した仕事が出来そうな人は、まあOK?
ある程度の実績だったり、知名度のある人や、共通の知り合いなどに紹介してもらった人などであれば、ちょっとした段取りは無視して、ツーカーの感じで進めても良いとは思います。
結局のところ、自己責任で納得できるのであれば、やり方は自由です。
お互いに困らないようにしつつ、最もスムーズな方法で取引を進めていきましょう。
まとめ
こんな感じで、一年間の仕事を終えていき、帳簿をつけていくと、あとは確定申告のみです。
次回の記事からは、いよいよ個人事業主の青色確定申告について、説明していきます!
▼次回記事
個人事業主が確定申告をやる時に準備するべきもの一覧・まとめ
個人事業主のことをもっと詳しく知りたい方へ!
著者がweb系の個人事業主・フリーランスを実際に一年間やってみた時の各種手続きについて、下記のページでまとめています。
記事の中では、自分の実体験に基づいて、「開業届(青色申告の届け出)⇒日々の業務・取引⇒日々の帳簿づけ⇒年末の青色確定申告」までの具体的な手順について、詳しく解説しています。これから個人事業主・フリーランスを考えている人は、ぜひ参考に!