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モンスタークライアントが倒せない! 絶対に知っておきたいディレクション術10選


WEB業界で避けては通れない相手。それがモンスタークライアントです。クエストレベルいったいいくつなのか・・・正直、彼らを倒せる気なんて微塵にもしません。しかし、我々は闘わなければならない・・・。なぜなら「それがお仕事」だから・・・(震え

とはいえ、製作側がしっかりしていないためにクライアントがモンスター化してしまうという見方も確かな事実です。本記事では、せめてもの最悪の事態を避けるに絶対に知っておきたいディレクション術10をお伝えします。

まずは敵を知っておこう! モンスタークライアント10コの特徴

モンスタークライアントの特徴としてはだいたい下記のような内容だと思います。

  • ・もらった資料を基本読まない
  • ・要件や仕様なんてあとから自由に変更できると思っている
  • ・相手のスケジュールに厳しく自分のスケジュールには甘い
  • ・納期間際もしくは納期を過ぎてから怒涛の鬼チェック。そして新たに要件を増やす
  • ・契約をしないうちからドンドン仕事をお願いする
  • ・概算の見積価格がすべて。その金額内でなんでもやってくれると思っている
  • ・デザインの修正なんてお金のかからない作業だと思っている
  • ・あとから思いついたことをすべて「至急かつ無料」で対応させようとする
  • ・ウェブサイト完成後になって初めて上層部へ見せて「鶴の一声」による作り直しを引き起こす
  • ・仕様書やデザイン、アイデアだけかっさらって、他社へお願いする

では、いったい、どのように闘っていけば良いか、対策となるディレクション術10個を解説したいと思います。

対策1:やりとりの基本はメール+電話の二重確認。また期日は絶対に伝えること

基本中の基本の技、「電話+メール」。電話で確認をしたら、その確認した内容をすぐにメールしてエビデンスを残すことが大事です。その逆も然り。大事なメールをしたら、すぐに確認してもらうように電話をすることが大事です。打ち合わせでは必ず議事録をとり、どういう話し合いをしたか承認をもらうようにしましょう。

また、この時、とくに大事なことが「ディレクター側がクライアント作業の締切を必ず設定すること」です。なぜならスケジュールが曖昧だと、クライアントは他の仕事が忙しいので、確認作業を後回しにする可能性が極めて高くなってしまうからです。逆にいうと、ディレクターが締切を設定しないと、クライアントがモンスター化する可能性が高くなるということです。

明確なスケジュール設定をすること。そして、締切を守るように相手をマメに誘導すること。ディレクターに求められる、すごく大事なファクターです。

対策2:要件や仕様はあますことなく徹底的に書式化して相手に確認までさせること!

これまた基本中の基本。たとえば見積書には必ずブラウザ仕様などを書いておくことです。よくあるミスが「後になってからのIE8対応」とかです。これはディレクター側も十分に気をつけなくてはいけないことで、事前にIE8を対応にするかどうか確認しておくことなどが大事です。そして、書式化したら、先ほどの「電話+メール」戦法で「相手が確認をして承認した」という事実をメールで記録するようにしましょう。これだけで、後から論争になった時、製作側はかなり優位に立つことができます。(たとえクライアントが駄々を揉めても正当性を主張することができます。)

・・・まあ、そもそも、相手がブラウザなどよく分かっていない相手であれば最初に丁寧に説明してあげる優しさは製作側も持っておくべきだと思います。

あとは追加の要件があった場合は別途見積ということを明記しておくと保険にもなって良い手段だと思います。

対策3:制作スケジュールは必ず作成して関係者各位に展開しておくこと

スケジュールで揉める原因はほとんどの場合、スケジュールを作成していない場合に起きます。よほどのことがない限り、製作で遅れる要因のほとんどはクライアント都合であることが多いです。たとえば要件定義が遅くなったとか、デザインの出し戻しが多かったとか、確認が遅くなったとか、の理由です。

この時に大事なことが「クライアント都合によって生じた遅延の分は納期も遅れる」ということを明確に主張できる状態にしておくことです。

まあ場合によっては、それでも無理矢理に納期を間に合わせなくてはいけないシチュエーションが出てくることもあるのが現場です。しかし、責任の所在を明確にしておけば、少なくとも「お急ぎ対応の追加分」や「クライアント側へ多少の罪悪感」などのメリットが出てきて、一方的にモンスター化するということも可能性が低くなるでしょう。

対策4:要件の追加分は基本的にお金がかかることを口酸っぱく伝えておく

クライアントは多くの場合、デザインや構築の確認後の戻しで「要件を増やしているかどうか」を自覚していないです。

たとえば、自宅で整備士さんにテレビの取付をしてもらった時を考えてみましょう。

この時、テレビの映り具合を調整してもらうとこまでは無料で対応してもらってOKだと思います。しかし、その時に「ついでのこのブルーレイも調子悪いので見てもらえます?」ということは「要件を増やしている」ことになります。
※ここで「いや、普通に無料のことでしょ」と思う貴方はモンスターの素質があるので気をつけましょう。

こういう時、整備士はお客さんに対して「そのお願いは要件が増えることになるので追加分になります。ここまでのお願いなら無料です」ということをきちんと説明してあげなくてはいけません。できれば、事前にそういった書式を送ったエビデンスがあれば、「ほら、ここにも書いてますでしょ」というように説き伏せることもできます。

お客さんは基本的に素人さんなので、webのどういう部分でお金がかかるかなんて知りません。ちゃんと説明してあげるモラルを持つように気をつけましょう! お金さえもらえれば、製作側も断る道理はないはずですので。

対策5:契約はキッチリ交わしてから作業を始めること!

と、書いてはみたのですが。しかし、これはとても難しい問題です。なぜなら契約しないうちに作業を始めることはウェブ業界で頻繁に起きている由々しき問題だからです。

たとえば「あいみつ」などで他社に勝つため、お客さんへ事前に製作物のイメージを与えるためには契約前にWFなどを作成せざるをえません。同じ理由でデザインや構築まで手掛けなくてはいけない場合もあります。この時に失注したら、当然ながら、作業はすべて無料働きとなってしまいます。しかし、仕方のないことです。

製作側で気をつけたいことは、極力、契約前に作業をしないようにして受注をすることでしょう。ただ、会社の品質が確かなものであれば、過去の製作物などを見せることで、どれくらいのクオリティの成果物が作れるかを相手へ明示することができます。

そのため本問題は、ディレクター役職の問題というより、会社全体でどのような方針にするか決めておいた方がよい問題かと思います。

対策6:概算はあくまで概算。その旨はきっちり説明すること

これは本当に難しい問題です。この業界で多いのですが、概算見積の金額で契約した場合、その後に追加分があっても「今回は予算がこれ以上つけられないからなんとか」とか「次回の発注で勉強するから」という理由で追加分の請求をさせてくれない場面が多々あります。(もちろん追加分の作業はさせられます・・・。)

こういう時にできる対処としては、サービスしてあげたことを明確に示すことです。たとえば「社内規則ですので再度ご発注ください」というように見積書を書き直して、その追加作業分のサービス値下げしたことを明確にした書式を送る、などです。

そうすることで「ああ、相手に迷惑かけたんだ。サービスしてもらったんだ」ということをきちんと認識させることがたぶんできます。もしその後にも取引があった時は、その時の見積書を引き合いに出して、この時はこれくらい勉強してあげたんだよっていう交渉手段にも使えます。

ただ、そういう会社はさらに安いとこに頼んだりするので、本当に難しいところです。

対策7:デザイン修正も、スケジュール・回数・お金のことをきちんと伝えておくこと

もしデザイン修正の出し戻しが多い場合、こんな戦法があります。
 ・デザイン出し戻しの分、納期は遅れることをきちんと伝える
  >納期を大事にしたいのでクライアントが折れる場合もある
 ・デザイン出し戻しの回数を決めておく
  >お金が有料になるならいいやとクライアントが折れる場合もある
たまに窓口の人が、とてもデザインにうるさい人の場合がありますので、そういう時は、その人の上司などに見てもらえるようにうまく誘導するのも手です。案外、上司はあっさりと決めてくれることもあります。(逆もあるので、要注意だが。)

対策8:時には、なんでもかんでも対応しないこと

お急ぎ!至急!お願い!

確かにお客様のニーズに応えることは大事ですが、しかし、時には対応できない場合もあることを理解してもらう必要があります。

製作側のミスでなく、さして優先度も高くない内容であれば、時には「この対応は明日になってしまいます」というように伝えることも大事です。ずっと対応を続けると、なんでも対応してくれるという風に解釈されてしまうからです。一番良いのは「この日のこの時間までなら無料対応。お急ぎとなると追加分になりますが大丈夫でしょうか」という伝え方。

クライアントとの関係も考えつつ、うまくさじ加減をしたいところです。

対策9:ウェブサイトの確認をするクライアント側の人間は事前に必ず聞いておくこと

ウェブサイトの確認をする人間、つまり「GOのサインを出す人間」は誰か・・・。これは製作の決まった段階からきちんと確認しておいたほうが良いです。事前に最終決済者を知っておけば、ちゃんとクライアント確認期間でチェックをしてもらうスケジューリングができるからです。

最も危険な状態が、先方の窓口の方が「最終決済者には最後に見せればいいや」と認識している場合です。ちゃんと要件やデザインの終了する段階で全員でチェックしてもらうように呼びかける姿勢が大事です。

対策10:繰り返し。契約はキッチリしておこう

この業界では珍しくない問題が「持ち逃げ」です。たとえば「あいみつ」で「価格見積と一緒にデザイン一枚ずつ書いてきてね」というお達しで、すべてのアイデアをパクッて一番安い方にお願いする、などです。また、要件やデザインまで相談してもらって一番安いところに頼む、などです。

これは本当に防ぎようがないんですよね・・・。法的な手段をとっても、グレーだし、時間もかかって費用対効果悪いし。

根本的な解決としては、良質なクライアントと付き合って行けるようにするって感じでしょうかね。逆に、こういうクライアントばかりを相手にしていてはいけない、ともいえます。とても難しい問題です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。いついかなる時もディレクターはクライアントに目を瞠らせ、うまく誘導していく必要があります。そのためには、的確な書式のやりとり、物事の進め方などが大事になります。なんでもかんでもクライアントのせいにしてはいけないなってのが個人的な考えなのですが、しかし確かに常識を大きく凌駕する化物が存在することも確かです。

・・・うーん。悩ましいですね。やはり一番の解決法は、良質なお客さんと長いお付き合いをしていくってことでしょうかね。(それができれば苦労はしないって話。)

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