webディレクターとはどんな職業? 自分の体験談で具体的にまとめてみた
本連載シリーズの最終回では、職場で実際に体験してみて、webディレクターとはどんな職業なのか、どのような能力が求められて、どんな人に向くのか、など、自分が感じたことをまとめてみたいと思います。
まず、webディレクターがどんな仕事なのか説明していきたいと思います。
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【まとめ】半年の独学でwebディレクターに転職できた方法
目次
webディレクターとは、どんな職業なのか
webディレクターの主な仕事は「制作進行管理」
webディレクターの主な仕事は、制作進行管理です。仕事に関するだいたいのフローチャートは下記の通りです。
クライアントより問い合わせ発生
↓
ヒアリング
↓
市場・競合他社などマーケティング分析
↓
要件定義(予算感に見合った仕様の提案)
↓
仮納期・スケジュール確認
↓
クライアントへ見積作成・提出
↓
クライアント検討(あいみつや、コンペあればプレゼン)
↓
受注
↓
要件定義(ワイヤーフレームで仕様をクローズ)
↓
制作メンバーアサイン(デザイン~構築)
↓
品質管理(社内確認)
↓
校正・検収
↓
納品(ローンチ・公開)
↓
更新運用(契約あれば)
このように、ウェブサイト制作の案件が発生した時、その最初から最後まで、すべての進行を担当して現場指揮することがwebディレクターの主な業務になります。
webディレクターの主な作業
制作進行管理のうち、webディレクターが作業する具体的な仕事は、下記の通りです。
・窓口業務(電話、メール)
・情報分析(ヒアリング・マーケティング)
・資料作成(提案、仕様、契約、ワイヤーフレーム、指示書)
・コスト管理(見積)
・進行管理(スケジュール)
・品質管理(サイトチェック)
・トラブル対応能力
webディレクターが実際に手を動かす作業は、結構多いです。仕事を効率的に回すためには、メール作成・各種資料作成・ワイヤーフレームなどの資料作成速度、また情報を収集して整理する思考作業速度の二つを早める必要があります。一つ一つの作業の難易度は難しくなくても、総合すると膨大な仕事量になりますので、さまざまな便利ツールやショートカットを覚えないと、とうてい仕事が終わらなくなります。
webディレクターに求められる能力
webディレクターの作業を見ていると、下記のような能力が求められることが分かります。
・正確なコミュニケーション力
・情報収集能力
・ドキュメント作成能力
・コスト管理能力
・スケジュール管理能力
・web全体の詳しい知見
・トラブル時のすばやい対応能力
webディレクターが失敗すると、どうなるか・・・
webディレクターが進行管理に失敗すると、当たり前ですが、納期が遅れますので、クライアントの信頼を損ねることになり、会社のマイナスとなります。また、曖昧なディレクションをすると、社員も無駄な仕事が増えてしまい、社内での立場も気まずいものになります。
責任が重く、外にも中にも気を遣わないといけない職業、それがwebディレクターです。
良いwebディレクターは、内外問わず、信頼が強い
きっちり制作進行管理ができて、仕事もひっぱってこれる。さらにはwebにも深い知見を持っており、質問されたら何でも答えられる。まあ、こんな万能な人間なら好かれるのは当たり前ですよね。
ただ、この場合は逆に気をつけないといけないこともあります。人気ディレクターになると、仕事が殺到してきて、内部の相談も増えて忙しくなり、これはこれで仕事が終わらなくなる、というデメリットです。
まあ、これはwebディレクターに限らず、どんな仕事にも共通することですよね。人気デザイナー、人気コーダー、人気システム屋・・・人気になると相談が増えて仕事がくる。ありがたきことで、かなしきことで、でもありがたきことで・・・なんとも複雑な感情だと思われます。嬉しい悲鳴ってやつですね。
優秀なディレクターは、いったい何個の案件を回せるのか
もちろん案件の規模により変動しますが、自分の見ていた限りだと、優秀な人は5個くらいの案件は平然とこなしているように見えました。案件が8個くらいになり、締切ラッシュが重なったりすると、「あ~、忙しいわ!!」とボヤく感じですね。
また、こちらは前職のエンジニア時代の話になりますが、当時の職場にいた優秀な人は、最大で10個くらいの案件を回していましたので、優秀な人の定義は「5~10個の案件を事故なく回せる」といった感じかと思います。
webディレクターはどこも人材不足
案件が発生すれば、ディレクターが必要となりますので、仕事を増やそうと思えば思うほど、ディレクターは必要になります。まあ、確かに、web業界の初心者だった自分がいきなりなれたくらいだから、納得といえば納得です。
ただ、webディレクターの仕事は、書き出していくと、あまりに膨大です。だいたい、webに関する知見を一つとっても、デザイン・構築・システム・マーケティングなど、それぞれの分野の職人になるには、かなりの月日が必要です。それらすべてをきっちりマスターできている人材なんて、滅多にいないことでしょう。
そのため、webディレクターの人は、それぞれに専門分野(得意分野)を持っている場合が多いです。webディレクターには種類がある、ということですね。これは、次の項目より説明していきたいと思います。
webディレクターの種類について
本項目では、webディレクターの種類をざっくり分類してみたいと思います。大きく分けて、4種類のタイプのディレクターがいます。
営業系ディレクター
強み
とにかくクライアントをひっぱってきたり、受注に結び付けることが得意なタイプのディレクターです。契約・受注率を増やして、会社同士の接点をたくさん作ってくれる力強い存在です。
弱点
受注したら満足して進行管理をおざなりにすることもあるので、制作側から文句を言われることもしばしば。また、多少のコストは目を瞑ってでも、受注優先になりがちなので、経理から睨まれているかもしれない存在。
企画系ディレクター
強み
コンペ・コンサルなどの画期的なアイデアが求められる時の提案が得意なタイプのディレクターです。ビジネスや流行に敏感な人が多く、マーケティングを求めるタイプのクライアントに刺さりやすい人材です。分類的には、営業系ディレクターと似ています。
弱点
技術・コスト・スケジュールなどを度外視にして、やりたいこと優先で風呂敷を広げまくることが多いので、社外にウケても、社内から煙たがられている可能性があります・・・。
デザイン系ディレクター
強み
いわゆるアートディレクターに該当します。凝ったデザインを求めるクライアントへの提案・制作が得意なディレクターです。デザインだけでなく、コーディングにも詳しい人が多く、構築のことも配慮した進行ができるので、製作陣からも受け入れられやすく、とても重宝する存在です。
弱点
デザインにこだわりが強過ぎるタイプの人だと、クライアントの求めている内容からハズれる場合もあります。たとえば会社内部の確認で「こんなデザインは見せられない」と言って出し戻しをしてスケジュールを遅らせて、でもフタを開けてみればクライアントはそれでもOKだった、みたいな感じのこともあります・・・。
システム系ディレクター
強み
データベース、サーバーなど、システム面も含めた提案・制作が得意なディレクターです。webサービスを含めたウェブサイト制作を考えているクライアントに絶大な強みを持ちます。たとえばECサイトだったり、SNSだったり。どちらかといえばプロジェクトマネージャーに近い位置づけのディレクターです。
弱点
トラブル対応もできて、かなり心強い存在ですが、技術に詳しい分、デザインが苦手だったりするので、凝ったデザインを求めるクライアントに弱かったりします・・・。
それでは、webディレクターはどんな人に向くのか?
前述しましたように、webディレクターには、さまざまなタイプがあります。基本的には「現場指揮のとれる人間」という位置づけの職業ですが、必ずしも現場指揮をこなせないとなれないというわけでもないという・・・なんとも不思議な職業です。
しかも、本連載シリーズでは、さんざんwebディレクターにはweb制作の知識があったほうが良いように紹介してきましたが、実際の現場を見ると「HTML・css」をよく知らない人が現場指揮をとっているシチュエーションも珍しくないです。つまり、webの制作知識がなくても、じつはwebディレクターになったりできるんですね。
※もちろん、そういう方は、マーケティングに精通していたり、web業界に関する自分の武器を持っています。
webディレクターになるための最低条件
しいて、webディレクターになるための最低限の条件を挙げるなら、「クライアントとBtoBのやりとりができて、それから制作陣とやりとりしてウェブサイト制作が進められる人」というカンジでしょうか。その上で、どんな分野に強いディレクターへ成長していくかは、その人の個性によるのだと思います。
ちなみに自分のタイプは、デザイン系とシステム系の間にいる制作系ディレクターかと思います。きっちり案件回すのが好きなタイプで、これから先はシステム系に強くなっていきたいと思って、日々、精進している次第です。
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ただ・・・
本音でいえば、webディレクターに大事なコトは一つだけだと思います。
それは、「ひたすら根性」です。
この職業、マッハでストレスが溜まるので、根性ないとやってられないと思います。
(この辺の話については、次回の記事で最終回の余談的に書きたいと思います。)
webディレクターは死ぬ可能性が一番高い職業?
ある雑誌によれば、そんな見解もあるようです・・・。社外からも社内からも四六時中、連絡が入り、案件次第では休日や連休の対応も求められ、またトラブルが起きた時は真っ先に狩り出される。それなのに会社の多くが残業手当を出さず、年収も低く、仕事とプライベートの両立も難しく、精神的にやつれやすい、ということです。
うーん、なんともコメントのしにくい・・・。まあ、個人的な意見を述べると、仕事に失敗しても人命には関わらないってところは精神的にラクなんじゃないですかね。。。(あんまりフォローになっていない!
関連書籍
一部、引用させて頂いております。
まとめ
いかがでしたでしょうか。webディレクターについて、少しでも参考になれば幸いです。
次回は、本シリーズのオマケとして、ちょっとした裏話をして本当に最終回にしたいと思います。