個人事業主の源泉徴収の仕訳ってどうやってすればいいの?
個人事業主をやっていて、戸惑う仕訳の一つが、源泉徴収の扱いです。
以下に解説します。
目次
個人事業主の源泉徴収の仕訳
源泉徴収の仕訳
業務案件の報酬などから源泉徴収を差引されていた場合、「事業主貸」を利用して仕訳します。
たとえば、個人事業主のあなたが6月1日に受注した10万円(税込で10万8千円)の案件について、それを6月中に納品および請求をして、翌月7/15に支払を受けたとします。
この場合、「源泉徴収金額=税抜価格の10.21%」となり、最終的な振込金額は「税込価格から源泉徴収金額(10,210円)が差引された金額」で、振込がされます。
仕訳で見ると、下記の具合です。
日付 | 項目 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | ||
6/1 | ●●案件納品の契約 | 売掛金 | 108,000 | 売上 | 108,000 |
7/15 | ●●案件納品による振込 | 普通預金 | 97,790 | 売掛金 | 97,790 |
7/15 | ●●案件納品の源泉徴収分 | 事業主貸 | 10,210 | 売掛金 | 10,210 |
上記の仕訳では、振込の際に源泉徴収分を事業主貸としていますが、最初の契約のタイミングで仕訳しておいても間違いではありません。
ただ、上記のように振込されたタイミングで源泉徴収分を処理しておくほうが、源泉徴収されるかどうか分からない場合にもスムーズに対応できますので、オススメです。
補助科目のススメ
上記の仕訳において、源泉徴収の勘定科目となる「事業主貸」には、新たな補助科目「源泉徴収分」を作成して設定しておくと、確定申告の際、源泉徴収の還付金を確認する時にスムーズになりますので、おススメです。
源泉徴収は税抜前の価格で計算する
ここは間違えやすいところなのですが、源泉徴収金額は税抜前の価格に対して計算します。
そのため、先ほどの例だと、税込108,000円に10.21%を乗算するのではなく、税抜100,000円に対して、10.21%を乗算します。(つまり、正解は10,210円となる。)
けっこう間違えやすいので気をつけましょう。(取引相手に経理部門があればきちんと計算してくれるとは思いますが、自分でも検算はできるようになっておきましょう。)
源泉徴収の割合をきちんと確認しておこう
源泉徴収の割合パーセンテージは、基本的には大きく変わることはないのですが、日本全体で動きのあった時は変わる可能性がありますので、たまにチェックしておくと良いです。
たとえば、源泉徴収の税率は以前10%でしたが、平成25年以降は復興特別所得税(0.21%)が加算されて10.21%となっています。(一応、平成25年~平成49年までは10.21%の予定らしいです。)
100万円以上の案件になると源泉徴収の計算式が変わる!
先ほどのように100万円未満の案件ではなく、100万円以上の案件を受けた際は、計算式が下記のように変わります。
▼100万円以上の源泉徴収金額の計算式
(A-100万円)×20.42%+102,100円
式を見るとわかりますが、固定で102,100円が発生。それプラス、案件代金から100万円の差分計算をした値に対して20.42%を乗算した金額が、源泉徴収分となります。
もし、103万円くらいの案件であれば、99万円とかにして受注したほうが、計算も楽です。
ただまあ、しっかり確定申告をして、節税できていれば、のちほど源泉徴収金額は税務署から取り戻せますので、あんまり躍起になって調整する必要もないです。
web系の個人事業主・フリーランスに源泉徴収は発生するの?
源泉徴収の定義を見た時、web系の個人事業主・フリーランスという職業は、源泉徴収対象になるのかどうか、とても判断に迷います。
詳しくは下記の記事でまとめていますので、気になる方は参考にしてください。
▼源泉徴収対象になるかどうかの参考記事
よく分からない!web系個人事業主の報酬に源泉徴収は発生するの?発生しないの?
税務署の人も源泉徴収のことを分かっていない?
過去、源泉徴収のことでわからないことがあって、税務署の人に聞いてみようと思って、質問をしに行った時があります。その時、窓口の方が職場のほうへ振り返って、「源泉徴収詳しい人だれだったっけー?」と、大声で叫んでいる姿を見て、ちょっと驚いてしまいました。
税務署にも色んな部署がありますので、必ずしも全員が税金関係にとても詳しいというわけではないようです。また、元々のルールが曖昧なところもあり、税務署の方でも判断に迷うことは結構ある様子。もしかしたら、どこかのタイミングで数字に強い人が税関係のソリューションをしたほうが良いのかもしれませんね・・・。
まとめ
取引先から振込を頂いた際、その報酬金額から源泉徴収を差引されていた場合は、勘定科目「事業主貸」で処理をして、できれば補助科目「源泉徴収分」と仕訳しておくと、のちほど確定申告の際、スムーズになります。
間違っても、「請求した金額より少ないじゃん!」など、恥ずかしいことを取引先に言わないように気をつけましょう。(ちゃんと源泉徴収分の差引かどうか、自分で確認できるようになっておきましょう。)
個人事業主のことをもっと詳しく知りたい方へ!
著者がweb系の個人事業主・フリーランスを実際に一年間やってみた時の各種手続きについて、下記のページでまとめています。
記事の中では、自分の実体験に基づいて、「開業届(青色申告の届け出)⇒日々の業務・取引⇒日々の帳簿づけ⇒年末の青色確定申告」までの具体的な手順について、詳しく解説しています。これから個人事業主・フリーランスを考えている人は、ぜひ参考に!