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個人事業主の固定資産ってどうやって仕訳すればいいの?

個人事業主をやっていて、戸惑う仕訳の一つが、固定資産です。

下記にまとめていきたいと思います。

個人事業主の固定資産の仕訳について

固定資産とは

個人事業主が「金額が10万円を超える事業に使うもの」を購入した時、それは固定資産として扱わなくてはいけません。

逆に、10万円未満であれば、消耗品費の仕訳をするだけでOKとなっています。

つまり、10万円というラインは、事業用に購入したものが固定資産になるかどうか判断するための一つのボーダーになっている、ということです。

たとえば、7/1に99,000円の事業用のパソコンを購入した場合、これは消耗品費として普通に仕訳することができます。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
7/1 事業用PC 消耗品費 99,000 現金 99,000

しかし、100,000円以上の事業用パソコンを買った場合は、消耗品費ではなくて、固定資産として仕訳をしなくてはいけないということです。

そして、固定資産の場合、その仕訳においては、購入金額すべてを一括して経費にするのではなくて、「償却」という独特のルールに従って、年数をかけて経費を算入していきます。

この時、償却の方法にはいくつかあり、個人事業主の場合は、購入した固定資産の金額に応じて、「減価償却資産・一括償却資産・少額減価償却資産」という3通りの方法を選ぶことができます。

固定資産の仕訳方法は3通り

固定資産の仕訳には、「減価償却資産・一括償却資産・少額減価償却資産」という3通りの方法があり、これらは商品の購入金額に応じて、やり方を選択することができます。

購入時の金額 減価償却資産 一括償却資産 小額減価償却資産
10~20万円 OK OK OK
20~30万円 OK × OK
30万円以上 OK × ×

「減価償却資産・一括償却資産・少額減価償却資産」がどのような仕訳をするのか、一つずつ説明していきたいと思います。

方法1:減価償却資産によって固定資産を仕訳する

減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きのことを言います。

・・・ちょっとよく分かんないと思いますので、先に仕訳例を示します。

たとえば、2017年7/1に320,000円という、とても高級なパソコンを事業用に購入した場合、それを減価償却資産として仕訳すると、下記のようになります。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
2017/7/1 事業用PC 工具器具備品 320,000 現金 320,000
2017/12/31 事業用PC
減価償却1回目
減価償却費 40,000 工具器具備品 40,000
2018/12/31 事業用PC
減価償却2回目
減価償却費 80,000 工具器具備品 80,000
2019/12/31 事業用PC
減価償却3回目
減価償却費 80,000 工具器具備品 80,000
2020/12/31 事業用PC
減価償却4回目
減価償却費 80,000 工具器具備品 80,000
2021/12/31 事業用PC
減価償却5回目
減価償却費 39,999 工具器具備品 39,999

上記仕訳が意味するところは、「2017/7/1に32万円の資産を入手し、2017年に4万円の経費、2018~2020年は毎年8万円ずつの経費、2021年に3万9999円の経費」ということです。

工具器具備品は、貸借対照表を見ると、資産の部に該当する、固定資産の内訳として表示される勘定科目になっています。

このように減価償却資産の仕訳で購入するものは、一括で経費扱いにはせず、所定の年数によって、財としての価値が減じるごとに分割して経費にしていく、という決まりになっています。(このように分割して経費にしていくような会計手続きのことを、「減価償却」と呼びます。)

減価償却の計算式には、定額法と定率法の二通りの方法がありますが、個人事業主では「定額法」を使って計算をします。

▼定額法の計算式
その年度の減価償却費 = 購入金額 × (1/耐用年数) ÷ 12(ヶ月) × 使った月数

耐用年数は、モノによって定まっており、パソコンだと4年となっています。詳細は国税庁のHPで確認できますので、固定資産を購入した方は必ずチェックするようにしましょう。

・国税庁HP「耐用年数表」
https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php
※パソコンは「事務機器、通信機器」のうち、「電子計算機-パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)」に該当。耐用年数は4年。

定額法の計算式を、先ほどの仕訳例にあてはめてみると、2017年においては、その年度の減価償却費は、「320,000円 × (1/4) /12 × 6」となり、その金額は4万円、となるわけです。

また、減価償却資産の独特な決まりなのですが、最後の償却時には、備忘価額といって、そのモノの資産価値が1円だけ残るように処理をします。

上記の例だと、2021/12/31に「39,999円」としているものに該当します。償却期間が終わっても、そのモノ自体は残るので、1円を残すという決まりになっているためです。

・・・ここまで読んでみて、ご理解頂けると思いますが、減価償却資産は要するにちょっと面倒な仕訳、となっています。

ですので、30万円以下の買い物であれば、別の方式で仕訳したほうがラクです。

方法2:一括償却資産によって固定資産を仕訳する

一括償却資産は、さきほどの減価償却に比べると、もう少し楽な方法です。

たとえば、2017年7/1に150,000円の事業用パソコンを購入した場合、一括償却資産で仕訳すると、下記のようになります。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
2017/7/1 事業用PC 一括償却資産 150,000 現金 150,000
2017/12/31 事業用PC
償却(1/3)
減価償却費 50,000 一括償却資産 50,000
2018/12/31 事業用PC
償却(2/3)
減価償却費 50,000 一括償却資産 50,000
2019/12/31 事業用PC
償却(3/3)
減価償却費 50,000 一括償却資産 50,000

一括償却資産には、耐用年数という概念はなく、いずれも3年で均等割する考え方になります。(15万円を3年で均等割=毎年5万円の経費という考え方。)

最後に1円残すという考え方もなく、綺麗に償却できるので、個人的には好きな仕訳の方法となっています。

方法3:少額減価償却資産の特例によって固定資産を仕訳する

これは、現状で、平成30年3月31日までの期間限定となっている制度です。

個人事業主であれば、購入したモノの金額が30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例を利用して、その購入した年度のうちに全額を経費にすることもできます。

少額減価償却資産として処理できる資産の合計額は、一年で300万円が上限(年度の途中で開業した場合は月割計算が上限)ですが、償却の手間がなくて、その年中に経費を処理したい時に、とても重宝する仕訳となっています。

たとえば、2017/7/1に、22万円のパソコンを購入して、少額減価償却資産の特例で仕訳すると、下記のようになります。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
2017/7/1 事業用PC 工具器具備品 220,000 現金 220,000
2017/12/31 事業用PC
(少額減価償却資産の特例)
減価償却費 220,000 工具器具備品 220,000

ご覧のように、その年のうちに全額経費にできる、とても便利な制度になっています。

注意点としては、購入したモノを使い始めていることが条件となっているものですので、未開封のままとかにしないように気をつけてください。(まあいちいちチェックには来ないのですが、決まりは決まりですので、モラルを持ちましょう。)

会計ソフトだと特別なメニュー画面になっていることが多い

会計ソフトで固定資産を仕訳する場合、普通の仕訳画面から入力せず、固定資産専用のメニューから入力する場合が多いです。やり方が分からない場合は、Google 検索などで、「自分の使っている会計ソフトの名前 + 固定資産 + 入力」などやって、固定資産の入力方法を調べると良いかと思います。

2018/01追記

MFクラウドで固定資産を減価償却する場合、最初の購入仕訳を自分で登録しておく必要があります。詳しくは以下の記事で解説していますので、もしも貸借対照表の一括償却資産の項目がマイナスになってしまう方は、参考にしてください。

まとめ

固定資産の仕訳では、償却という概念が生まれて、年度をまたがった分割の経費となりますので、10万円以上の買い物をする際は、留意してから仕訳するようにしましょう!

また、少額減価償却資産の特例は便利なのですが、期間限定の制度ですので、あまり頼り過ぎず、減価償却もしくは一括償却の仕訳にも慣れておくようにしましょう。

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