NISA初心者の失敗体験談「非課税は暴落に弱い!」
今回は、一般NISA(ニーサ)のお話です。
2020年3月にコロナショックがありましたが、この時、NISAでけっこうな失敗をしたので、その体験談を紹介したいと思います。
結論は「NISAは暴落に弱いので要注意」です。これから初めて取り組む方は、参考にしてもらえれば幸いです。
目次
NISA(ニーサ)の失敗体験談とは
一般NISAの特徴
細かな説明は省きますが、要点は以下の通り。
・売却益&配当金の非課税
・非課税の継続「5年間」
・1年に120万円の範囲上限
メリットは、配当金の利益や売却益にかかる税金約20%分が非課税になるのでオトクでっせ、というもの。
たとえば配当金や売却益で1万円の利益が出た時、通常なら税金で2,000円ほど差引されるけど、NISA枠で売買した銘柄なら、1万円がそのまま利益になります。
条件として、1年のうちにNISA枠で買えるのは120万円まで、購入時点から5年がNISA枠の適用期間という縛りもありますが、かなり嬉しい制度なことは間違いありません。
しかし、もちろん落とし穴があります。それが今回に自分が味わった"暴落"です。
NISAは暴落に弱い
NISA最大のメリットは"非課税"ですが、これが暴落時にはそのまま弱点となります。なぜかというと、「NISAで生じた損失はそのままマイナスになるだけ」だからです。
通常、売却益で損失が出た場合、「赤字分のうちは税金免除」という、敗者救済のような仕組みがあります。
例)通常の場合
損切して50万円のマイナスが確定!
↓
配当金が5万円もらえる時、50万円のマイナスがあるので、税金20%の差引が免除される(売却益も一緒)
↓
以降、赤字分で税金免除(※基本は一年のみ。確定申告すれば"譲渡損失の繰越控除"となり3年の持ち越しができる。詳しくは調べてね!)
しかし、NISA非課税で損失を確定した場合、その赤字分に対する恩恵は何もありません。
例)NISAの場合
損切して50万円のマイナスが確定!
↓
配当金が5万円もらえる時、しっかり20%の税金1万円も差引される。(売却益も一緒)
↓
NISAのマイナスは、一切の税金免除にならない!
つまり、NISAで損失を出してしまうと、「傷口に塩を塗る」、「泣きっ面にハチ」という状況になってしまうのです。
そして、自分の場合、コロナショックでそんな状況に陥りました。
コロナショックの暴落でNISAの弱点に直面する
コロナショック前、自分はNISAのことを深く考えず、「非課税だし、120万円の範囲はさっさと消化したほうが良いな」と、2020年2月頃には、ほぼ上限枠一杯に使い切ってしまっていました。
「今年はオリンピックもあるし、早めに仕込んでおこう」と、呑気に買っていたわけです。
で、コロナショックです。
1~2月から騒がれて株価は徐々に下降トレンドとなり、3月になって、一気にズゴーンと大暴落が発生しました。
3/6の金曜は、「まあこんなこともある。我慢我慢……」とか思っていました。
週明けの3/9。
日経平均20,000円を割ってしまい、「これはアカン……」と思って、一部を損切しました。
そして、サーキットブレーカーも発動した魔の金曜日13日、なおも下がり続ける16日週。
ここで心折れて、だいぶ損切しました。
3月中旬、底値は16,500ほどまで急落し、その結果、NISA枠で確定した損失が20万円ほどになってしまいました。
この後、自分は「いやいやまてまて。暴落時に買わないで、いつ安い時に買えるというのだろうか」などの危険思想に至り、「100万くらいはマイナスになってもいいから刻んで買っていこう」と強気になって銘柄を選定して増やしていき、2020年7月現在では、これが結果的には正解で、そこそこ十分なプラスにはなりました。
で、このプラスは含み益のまま、まだ確定せず、今年はマイナスになった分、非課税で配当金をもらっていこうとか考えていたのですが、ここで落とし穴になったのが、NISAのマイナス分です。
これが通常の買い方で生じた損失なら税金免除になるのですが、NISA枠で生じたマイナス分は、税金免除の対象になりません。配当金の税金免除は、あくまで通常の買い方で生じた損失に対してのみ、です。
つまり、確定した-20万円の損失は、なにも使い道がないわけで、「あー、NISAってこんなデメリットあったんだな」としみじみ実感したのです。
NISAの限定的な価値が損切のタイミングを遅らせてしまう
自分は、2月の中旬くらいには、世界中の不穏な空気を感じていて、「たぶん損切しておいたほうが良い時期だよな」と思ってはいたのですが、しかし、行動にはなかなか移せませんでした。
というのも、「せっかくNISA枠で買ったものだしな」という考えが邪魔してしまったからです。年間120万円しか購入できない価値あるNISA枠の銘柄だから「できることなら手放したくない」という想いがあり、これがズルズルと判断を鈍らせて、損失を膨らませてしまったのです。
「せっかくNISA枠で買ったし」という考えは、暴落相場においては、完全に足を引っ張ってきます。これは、プロなら冷静に迷わずスピーディに損切できるかもしれませんが、ふわふわーとした初心者は、まず困惑します。結果、出遅れてしまい、暴落してからの狼狽売りをしてしまい、涙目になってしまいます。NISAの弱点の一つですので、気をつけたいところです。
NISAはナンピンしにくい
暴落の最中、NISAにはもう一つの弱点があることに気づきました。それはナンピンがしにくい、という点です。
ナンピン買いは、あまり推奨されない戦略ですが、しかし、今回のように相場全体が下がった時などは、中長期の目線では有用な選択肢の一つだと思います。
しかし、NISA枠は、一年の取引枠が120万円となっているので、たとえば100株60万円の銘柄でも保有していれば、ナンピンできるのは、残り100株のみです。その後は、薄めることもできず、ただただ含み損と付き合うしかありません。
「安い価格帯になった時、好きなように買い増しできない」というのは、中長期保有思考の人にとって、なかなかの足枷になると思います。
今回のケースでは、相場が強烈なV字回復をしたこともあって、致命傷に至っていない人も多いとは思いますが、しかし、コロナの影響はまだまだ油断できません。もしもリーマンショック級の暴落になれば、NISA枠の含み損はかなりの金額になってしまいます。
自分は非課税のメリットも大事だけど、暴落した時のリスクを考えると、「今後、NISAで大きくポジションを抱えすぎるのも危険だな」という結論に至りました。
20%近くの税金を払ってでも、暴落リスクには備えておいて、自由に売買しやすい環境でポジションを取っていた方が基本的には良いな、と思い直しました。
とはいえ、もちろん、NISAで買うことにはメリットがありますので、大事なのは戦略を立てて買うことだと思います。
NISAは買い方の戦略次第!
NISAは暴落に弱いと書きましたが、しかし、これは戦略を持って買えば、対策できないわけではないです。
たとえば、毎年、ある程度の上限枠を残しつつ、安くて高配当な銘柄だったり、ボラリティの低い銘柄(あんまり上下しない堅実銘柄)を選んで、積み立てるように買っていけば、非課税の恩恵を受けながら、暴落への耐性も同時に備えることができます。
では、どんな銘柄を選び、どんな銘柄を避けていけばいいか。
本文長くなってしまいましたので、詳しくは別記事に分けました。
NISAで買うべき銘柄や避けるべき銘柄を詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
NISAは非課税なので、売却益や配当金で利益を出す分には、すごく嬉しい制度なのですが、暴落などには弱く、いったん損失を確定してしまうと、そのマイナス分に対する税金免除はなくなってしまうデメリットがあります。
「NISAで何を買えばいいんだろう」と悩む人は、まずは「暴落した時のリスク」を考えてから検討していくと、自分と同じ誤ちをしないで済むかと思います。
損切の振り返り
自分は、コロナショックにおいて、損切のタイミングが3月の上中旬とタイミングが遅くなってしまいましたが、一応、後悔はしていません。
結果論では、相場全体としては3/20くらいからV字回復したので、損切しないでホールドしておけば良かった、という見方もあります。
しかし、それ以上の暴落していた可能性を懸念すると、「完全に素寒貧になる前にキャッシュをいったん手元に置けた」という意味で、まあ良かったのかなと思います。そのおかげで、他の銘柄を選定してプラスに持っていけたのも根拠の一つです。
とはいえ、この先、また暴落がないとは全然言いきれないので、依然として油断してはいけないですがね……。