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web系フリーランス・個人事業主でよく使われる具体的な仕訳一覧まとめ!

今回の記事では、著者が青色申告(複式簿記)をやった時、実際によく使っていた仕訳について、一覧にしてまとめてみました。

もし、これからweb系個人事業主の青色申告(複式簿記)をやろうとしている方は、参考にしてみてください。

※本記事では、消費税はすべて税込仕訳と仮定しています。

web系フリーランス・個人事業主でよく使われる具体的な仕訳 ~収入編~

web業務案件の仕訳(源泉徴収アリver)

たとえば3/15に契約したwebページ制作で、税抜100,000円(税込108,000円)の案件があり、それを4月某日に納品して、5月末に源泉徴収をされた金額97,790円が入金された時の仕訳は、下記の通りです。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/15 業者Aの案件 売掛金 108,000 売上 108,000
5/31 業者Aの案件 入金 普通預金 97,790 売掛金 97,790
5/31 業者Aの案件 源泉徴収分 事業主貸 10,210 売掛金 10,210

契約日=売上・売掛金の発生と考えて、振込があった時に掛計算を回収してfixとなります。webに限らず。業務の仕訳は基本的に上記のようになります。

補助科目を活用すると便利
上記の例で、普通預金の補助科目に「振込された事業用口座の名前」を設定し、事業主貸の補助科目に「源泉徴収分」と設定しておくと、あとで貸借対照表や損益計算書で集計した時、追跡がラクになるのでおススメです。

web業務案件の仕訳(源泉徴収ナシver)

先ほどと同じ例で、源泉徴収が発生しなかった場合は、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/15 業者Aの案件 売掛金 108,000 売上 108,000
5/31 業者Aの案件 入金 普通預金 108,000 売掛金 108,000

契約・納品・振込が同日にされた場合の仕訳

webの業態の中には、写真撮影だったり、突然の構築だったり、スポット的な案件が発生して、当日中に納品して報酬をもらえる場合もあります。

たとえば、3/2に案件Bが発生して、その日に報酬10,000円を手渡しで受け取った、という場合は、掛仕訳をせず、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/2 案件B 現金 10,000 売上 10,000

事業に現金を持たせる仕訳を嫌うならば、報酬を受領した後、自分で事業用の口座へきちんと入金しましょう。その際の仕訳は、下記の通りです。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/2 案件Bの報酬→口座 普通預金 10,000 現金 10,000

アフィリエイトの仕訳

アフィリエイトも、最初のweb業務案件と、ルールは基本的に同じです。

「成果報酬確定金額=契約日」、「成果報酬振込=支払日」というように扱って、掛計算の仕訳をします。

たとえば3/1に5,320円のアフィリエイトAの成果報酬金額が確定して、そのお金が3/31に振込された場合、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/1 アフィリエイトA ●月分 売掛金 5,320 売上 5,320
3/31 アフィリエイトA ●月分入金 普通預金 5,320 売掛金 5,320

入金された時、手数料300円が差引された際は、下記のように仕訳してください。(たとえばamazon affiliateだと、手数料をとられます。)

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/1 アフィリエイトA ●月分 売掛金 5,320 売上 5,320
3/31 アフィリエイトA ●月分入金 普通預金 5,020 売掛金 5,020
3/31 アフィリエイトA 手数料負担 支払手数料 300 売掛金 300

アフィリエイトの仕訳をやっていて、その売掛のタイミングなどで悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▼参考記事
アフィリエイトの仕訳って、どのくらい実現主義にこだわるべきなの?

仕訳 収入編のまとめ

web系の個人事業主であれば、その収入に関する仕訳は、上述したような数パターンくらいで対応できると思います。

売上・売掛金・普通預金といった流れの仕訳ができるようになれば、だいたいOKだと思います。

というわけで、次の項目からは、web個人事業主がよく使う経費の仕訳について、紹介していきます。

▼年度をまたぐ売掛金の仕訳方法を知りたい方はこちら
年度をまたぐ売上・売掛金ってどうやって仕訳すればいいの?

web系フリーランス・個人事業主でよく使われる具体的な仕訳 ~支出編~

個人事業主・経費の貸方はだいたい「事業主借」で統一可能!

個人事業主の経費仕訳において、その貸方は、「事業主借」の勘定科目で、ほとんど統一できます。

事業主借は、端的にまとめると、「事業主が事業の代わりにポケットマネーを使って、事業用の買い物をおこない、その立て替えた金額を事業用にツケて記録する」ということです。

説明すると長くなってしまうので、本記事では省略します。ひとまず、本記事では、すべて「事業主借」で仕訳しますので、ご了承ください。

個人事業主だけの特権「事業主貸」と「事業主借」

個人事業主は法人とは異なり、事業と事業主の間で、お金の貸し借り(受け渡し)がカンタンにできます。そのための勘定科目が「事業主貸」、「事業主借」となります。初めての方にはちょっとイメージがつきにくいと思いますので、それ専用の開設記事を作成しました。気になる方は参考にしてみてください。

▼参考記事
事業主借・事業主貸・元入金について解説! web系個人事業主が図説で分かりやすくまとめてみた

ドメイン・サーバー費用の仕訳

たとえば、4/3にA社のレンタルサーバーを3年分まとめて借りた時、12,000円だった場合は、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
4/3 A社 サーバー費用
(2017/4/3~2020/4/3)
広告宣伝費 12,000 事業主借 12,000

ドメイン・サーバー以外にも、google adwordsやfacebookなど、さまざまなwebサービスでの宣伝があります。これらも全部広告宣伝費で処理して、OKです。(広告宣伝費の中に補助科目「web関連」など設定してあげると、さらに親切かもしれません。)

ただし、上記は一例です。インターネット関連の費用は諸説あって、たとえば「通信費」、「長期前払費用」、もしくは勘定科目を自作して「インターネット費用」というように、他の勘定科目にしても誤りではありません。

このように仕訳では、何通りか答えがある場合もあるのですが、こういう時は、一回決めたら、その取引については同じ勘定科目を使い続けることが大事です。

名刺の仕訳

名刺については、「消耗品費」か「広告宣伝費」で処理すればOKです。

たとえば3/2に名刺100枚を税込1,000円で発注したら、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
3/2 名刺100枚 広告宣伝費 1,000 事業主借 1,000

ソフトウェアの仕訳

ウイルスバスター、office、Adobeなど、各種ソフトウェアについては、単体の商品が10万円を超えない場合は、いずれも「消耗品費」という勘定科目で仕訳します。

たとえば、5/10の同じ日に、ウイルスバスター20,000円、officeソフト35,000円、Adobe関連ソフト70,000円を購入した時の仕訳は、下記のようになります。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
5/10 ウイルスバスター 消耗品費 20,000 事業主借 20,000
5/10 officeソフト 消耗品費 35,000 事業主借 35,000
5/10 Adobe関連ソフト 消耗品費 70,000 事業主借 70,000

この時、もし、単体の商品が10万円を超えた場合は、消耗品費として仕訳することは誤りになって、固定資産としての仕訳が必要になりますので、気をつけましょう。

パソコン・スマホなどデバイス費用の仕訳

パソコンやスマホ端末などの購入も、消耗品費で仕訳します。

他にも、USBメモリ、SDカード、カメラ、HDD、モニター、机、椅子、ラックといった、機材・資材系などもすべて消耗品費で仕訳します。

そして、いずれも単体で10万円を超える商品になる場合は、消耗品費として仕訳せず、固定資産として仕訳しなくてはいけません。(たとえば10万円以上のパソコンは固定資産扱いとなります。)

固定資産の仕訳

固定資産の仕訳はちょっと複雑になりますので、こちらの記事にまとめています。

▼固定資産の仕訳
個人事業主の固定資産ってどうやって仕訳すればいいの?

打ち合わせ費用の仕訳

仕事の話で、喫茶店や飲食店、会議室の貸切などで打ち合わせをした場合は、「会議費」か、「交際費(接待交際費)」で仕訳します。

会議費と交際費には、下記のような違いがあり、通常、合計金額から算出した、一人あたりの金額に応じて、使い分けます。

会議費
⇒社内会議や、取引先との打ち合わせ/会議に関して使用した費用
⇒5,000円以下の場合は会議費で仕訳

交際費
⇒外部の事業関係者に対して接待/慰安を目的に使用した費用
⇒5,000円以上の場合は交際費で仕訳

たとえば、7/3にどこかの会議室を3,000円で貸し切って打ち合わせをした場合は、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
7/3 打ち合わせ 会議費 3,000 事業主借 3,000

まあ、交際費としても間違いではないです。(けっこうルールがアバウトだったりするのも簿記の特徴です。融通がきく、という言い方の方が正解かもしれません。)

交通費の仕訳

事業に関連して、交通費がかかった場合は、「旅費交通費」の勘定科目を使います。

たとえば4/7に業者Cと打ち合わせをするために、往路1,100円の交通費がかかった場合の仕訳は、下記の通りです。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
4/7 業者C 打合せ 交通費 旅費交通費 1,100 事業主借 1,100

交通費は証ひょうナシでもOK?

交通費は、その性質上、証ひょうをすべて揃える必要はなく、出金伝票や交通費専用のエクセルシートを作って、データ上の管理でもOKとされています。もし税務調査が入っても、その日、その場所に行ったことが証明できれば、問題はないようです。もちろん、だからといって、架空の水増し経費のようなことはしてはいけません。

書籍購入の仕訳

web屋に不可欠なのが、技術書・専門書・雑誌の購入です。日進月歩の激しい業界ですので、勉強のための書籍は、もちろん経費になります。書籍を仕訳する際は、「新聞図書費」の勘定科目を利用します。

たとえば9/10に3,200円(税込)の書籍を購入したら、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
9/10 web書籍 新聞図書費 3,200 事業主借 3,200

郵便物を送る時の仕訳

取引の中では、請求書だったり、NDA(秘密保持契約書)だったり、マイナンバーだったりの「書類」を郵送する場合があります。この時の送料は「通信費」で仕訳します。

たとえば9/20に請求書を82円で送った時は、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
9/20 請求書の送付 通信費 82 事業主借 82

ちなみに、ゆうパックなど、物を送るために使用した料金は「荷造運賃」で仕訳して、DMなどの大量に送る場合は「広告宣伝費」で仕訳します。

ファイル・文房具・印鑑など事務用品の仕訳

個人事業で業務をやっていると、ファイル・クリアポケット・インデックスシール・封筒・ペン・印鑑・朱肉・のり・テープなど、けっこう事務用品・備品も必要になってきます。これらは「消耗品費」で仕訳します。

たとえば下記の感じです。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
5/10 クリアファイル、印鑑、テープなど 消耗品費 1,500 事業主借 1,500

携帯電話の仕訳

携帯電話の仕訳は、「通信費」の勘定科目でおこないます。

ただ、事業用に携帯を準備しておらず、生活用の携帯電話と一緒になっている時は、「按分仕訳」の必要があります。

たとえば、月額3,000円の携帯電話があって、それを生活6割(60%)、事業用4割(40%)で利用していた場合、下記のように仕訳します。

日付 項目 借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
**/** 携帯電話 ●月分 事業主貸 1,800 事業主借 3,000
- 通信費 1,200 - -

インターネット費用なども同じように仕訳できます。

按分割合ってどれくらい?

按分仕訳をする際、必ず悩むのが按分割合です。いったい、どれくらいが事業用割合なのか・・・。土地などルールが決まっているものもあれば、携帯電話のようにルールがとくに決まっていないものもあって、よくわからないんですよね。

とりあえず、自分自身で、割合の根拠となるデータを用意しておいて、それに基づいて割合を決めると良さそうです。(悩んだら税理士さんや税務署さんへ相談しに行きましょう。)

家賃・水道光熱費などの仕訳

個人事業主では、条件を満たしていれば家賃や水道光熱費も経費にできます。

けっこう大きい金額になるので、ある程度の収入になってきたら、いっそ事業用の事務所を借りたり、購入したりすると、節税にも繋がります。

事業用の建物なら全額経費ですが、居住地と仕事の両用の場合は、按分仕訳になるので、気をつけましょう。

(自分はやっていないので、具体例掲載できず。事業用の建物を構えることができたら掲載します!)

仕訳 支出編のまとめ

以上の内容が、支出に関する具体的な仕訳でした。

実際にやってみると分かりますが、個人事業主の支出に関する帳簿づけって、貸方の勘定科目は、「事業主借」で、無双できますし、あとは取引内容に応じて、借方の勘定科目を仕訳するだけなんで、けっこうラクです!

しかもweb系だと、仕入れとかもないし、経費のバリエーションもかなり限定されますので、そんなに難しくないんですよね。

web系個人事業主の仕訳って、じつは難しくない!

これまでの収入編と支出編で紹介したように、じつはweb系個人事業主の仕訳って、これくらいのパターンの内容で終わりなんです。

あとは、会計ソフトが自動的に計算してくれて、貸借対照表や損益計算書、その他の簿記書式も自動作成してくれるわけです。しかも会計ソフトは確定申告の書類作成までサポートしてくれますので、事業主が悩むことって、けっこう少ないんです。

ちょこちょこ仕訳で記録して、年始にパソコンでちょろちょろってデータ入力するだけで、65万円もの節税効果を得ることができますので、これはもう、青色申告の複式簿記、チャレンジするしかないかと思います。

仕訳に困った時の検索方法

「この取引、どういう風に仕訳したら良いんだろう・・・?」

そんな時は、本を調べるのも良いのですが、「●● 勘定科目」とか、「●● 仕訳」ってググると、まるで辞書のように、解説ページが出てきてくれますので、ぜひ活用しましょう。

家族で事業をやっている人は給与の支払に注意!

本記事では説明していませんでしたが、たとえば、web制作について、夫婦で一緒にやっていて、片方が従業員というような場合は、その費用も経費にできます。ただし、青色申告の専従者給与となり、事前の申請手続きが必要ですので、気をつけましょう。(もし自分がやることになった場合は、このへんも改めて記事にしたいと思います。)

売上が1000万円を超えると、消費税を考える仕訳になるので注意

本記事ではすべて税込計算で仕訳していましたが、売上が1000万円を超えてくると、消費税別の仕訳にしたほうがオトクなど、仕訳の方法がちょっと変わってきますので、気をつけましょう。

まあ事業規模がそれだけになってきたら、消費税対応より、節税を考えて法人化も検討したいところです。(というか、それだけの規模なら、こんな辺境ブログのうさんくさい記事に頼らず、しっかりと勉強されたほうが良いです!)

まとめ

本記事では、web系個人事業主がよく使う仕訳について、一覧にしてまとめました。

仕訳を理解すると、青色申告・複式簿記に必要な知識は7~8割ほどカバーしたといっても過言ではありません。なにしろ、あとは仕訳を一年間続けていって、確定申告をするのみだからです。

というわけで、次回の記事からは、いよいよ確定申告の説明をしていきます。

個人事業主が確定申告をやる時に準備するべきもの一覧・まとめ

・・・その前に、web系個人事業主の見積・発注・請求などの事務的な流れを知っておきたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

web系個人事業主の見積・契約・納品・請求までの具体的な一連の流れ

個人事業主のことをもっと詳しく知りたい方へ!

著者がweb系の個人事業主・フリーランスを実際に一年間やってみた時の各種手続きについて、下記のページでまとめています。

記事の中では、自分の実体験に基づいて、「開業届(青色申告の届け出)⇒日々の業務・取引⇒日々の帳簿づけ⇒年末の青色確定申告」までの具体的な手順について、詳しく解説しています。これから個人事業主・フリーランスを考えている人は、ぜひ参考に!

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